FMH Inside Story

FMH “拡がる” Inside Story

会社情報

Vol.3 株式会社 ポニーキャニオン

FMH “拡がる” Inside Story

音楽事業本部 A&R2部 日下部 康(部長)
アニメ・映像事業本部 小山 直紀
ファンマーケティング部 吉田 毅(部長)、今泉 佑理
米国・台湾拠点に加速する海外戦略
世界に“拡がる”音楽・アニメ・推し

音楽事業本部 A&R2部 日下部 康(部長)、アニメ・映像事業本部 小山 直紀、ファンマーケティング部 吉田 毅(部長)、今泉 佑理

想像力を超える創造力で、世界中の人とつながっていく―。創業から50年以上、国内外に、多彩な音楽、アニメ、ライブなどを発信してきたポニーキャニオン。2024年7月にはアジアの拠点となるポニーキャニオンエンターテイメント台湾を設立し、米国ロサンゼルスでポニーキャニオンUSAも再始動するなど、海外戦略を加速させている。〝楽しい〟を届けたいという情熱と配信技術といった時代ならではのインフラを融合させ、国境や言葉、文化の垣根のないエンターテインメントの可能性をグローバルに拡大させている。

ガールズハードロック×米国・メキシコ 世界が注目「BAND-MAID」 メイド姿でグラミー賞ノミネートアーティストと共作
日下部康
BAND-MAIDをデビューから見守ってきた音楽事業本部 A&R2部 日下部康 部長

メイド姿と高い演奏技術のギャップで世界中のハードロックファンを熱狂させる5人組ガールズバンド「BAND-MAID(バンドメイド)」。2013年にデビューし、ハードロック調の「Thrill」をリリースしたところ、海外のラジオが注目して人気が爆発。これまで欧米を中心に15カ国以上で公演を行い、2022年の全米ツアー単独公演では約2万人を動員した。

この〝規格外バンド〟が、全世界2300万枚のアルバムセールスを誇る米オルタナティブロックバンド「incubus(インキュバス)」やメキシコの3姉妹ロックバンド「The Warning(ザ・ウォーニング)」と出会ったら、何が起こるだろう。

未知との遭遇ともいえる国際的共演を具現化したのは、BAND-MAIDと走り続けてきたポニーキャニオン音楽事業本部の日下部康さん。「最初は海外を意識していなくて…。思い切って、車1台で寝泊まりしながら欧米ツアーを敢行した。まずは衣装に『クール!』と関心を持ってもらえて、音楽を聴くと『すごいロック』と実力が知れ渡っていった」と原点を振り返った。

2023年5月、BAND-MAIDは米国の音楽フェスに参加していた。ヘッドライナーはincubus。日下部さんは、バンドでコピーをするほどのincubusファンだった。仕事の合間にグッズの列に並んでいると、ドラムスのAKANE(アカネ)が駆け寄ってきた。

「大変です!コーヒーに入れるミルクを探している人がいて、案内してあげたら、その人がなんと…」

合流すると、incubusのギタリスト、Mike Einziger(マイク・アインジガー)の姿が―。マイクは彼女らの音楽を絶賛し、ライブを改めて聴いた上で共作を即断。2024年4月、共作曲『Bestie(ベスティ)』のリリースを実現させた。

BAND-MAIDは同じ時期、米国でもう一つの出会いを果たしている。音楽フェスで「一緒に写真を」と声をかけてきたのが、メキシコでは知らない人はいない有名ガールズバンド、The Warningだった。

The Warningも2024年6月に来日。東京・六本木でBAND-MAIDと特別公演を開催し、BAND-MAID with The Warningとして、コラボ曲『SHOW THEM』を披露した。偶然の出会いから新たな音楽が生まれたのは、彼女たちの才能の賜物だろう。

「次はBAND-MAIDがメキシコに行って共演したり、一緒に全米ツアーをしてみたい。そこにincubusがいたら最高です」(日下部さん)と夢が膨らむ。

マイクとの共作で新しい雰囲気をまとった(Photo by 伊東実咲)

パワフルという共通性。BAND-MAIDとThe Warning (Photo by 伊東実咲)

ポニーキャニオンは2024年7月、台湾へ法人を設立。北米拠点も再始動させ、国境を超えたコンテンツ普及に乗り出している。

日下部さんは「グローバルな視点で音楽を創造できるチャンスが到来している。アーティストが国際的なファン層を築ける時代になった」と指摘する。

BAND-MAIDは、その先駆的な成功の一つ。才能と努力、運を引き寄せる力、戦略や時代…。すべてを武器に、これからも世界のステージを揺らしていく。

アニメ映画〝夏トン〟×フランス 人気小説の劇場アニメ化への挑戦 日本映画のような演出で仏映画賞受賞

ポニーキャニオンが2022年に公開した自社企画・製作・配給映画『夏へのトンネル、さよならの出口』は2023年6月、仏アヌシー国際アニメーション映画祭でポール・グリモー賞を受賞した。韓国や英国、仏などを経て、2024年8月から中国でも上映。珠玉の一本が世界に飛躍し続けている。

原作は、望むものが手に入る不思議なトンネルを描いた八目迷さんの同名小説(小学館)。心に傷を負った男子高校生と自身の存在に悩む女子高校生のひと夏の物語だ。

時代も国も年齢も問わないテーマを内包する物語だ

小山直紀
アニメ・映像事業本部 小山直紀

「10代の葛藤が描かれたストーリーが魅力的で、国や地域、言葉、年代などを超えた普遍性と時代性がある。さらに、テレビシリーズを経ずにアニメ映画にするのは、ポニーキャニオンにとってはほとんど前例のない試みだったので事業としても成功させたい。そんな2つの思いから、最初から世界への発信を意識していた」。そう話すのはアニメ・映像事業本部の小山直紀さん。プロデューサーとして企画やキャスティング、音楽、海外戦略など、作品のすべてに関わった。

田口智久監督による往年の日本の実写映画のような演出が特徴的。暗い色調で物語は進行するが、トンネルの中はリムライトと呼ばれる反射光の効果を使って、異質さと神話性、主人公らの心の機微を際立たせた。作画と3Dを組み合わせた表現技法などが玄人受けする一方、「泣ける」というピュアな反応も多かった。

©2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会

「国内外でうれしい手応えを感じた。海外では興行面などで伸びしろがある。世界市場を意識し、一層のビジネスプロデュースを進めていきたい」。小山さんはさらなる海外進出を見据えている。

大人気GL・BLドラマ×推し活×タイ 〝フリーン&ベッキー〟来日でファンイベント 好奇心を力に世界中のエンターテインメント発掘

海外のエンターテインメント発掘とファンをつなぐ事業にも力を入れるポニーキャニオン。韓流(韓国)、華流(中国)に続き、今注目するのはポップカルチャーの国「タイ」。社員の好奇心を原動力に作品と世界のファンをつなぐ架け橋となり、〝国際的推し活〟を盛り上げている。

2023年10月に千葉県内で開催したのは、タイのGL(ガールズラブ)ドラマ『ギャップ・ザ・シリーズ』に主演するフリーンさんとベッキーさんのファンミーティング。チケットはまたたく間に完売した。

フリーンさん(左)とベッキーさん(右)

今泉佑理
ファンマーケティング部 今泉佑理

イベントを制作したのはライブ・ECソリューション本部ファンマーケティング部の今泉佑理さん。日本のBL(ボーイズラブ)作品に影響を受けたタイの実写ドラマは「胸キュンストーリーとキラキラ感が際立っている」といい、耽美な世界を追いかけてきた。2024年4月には、BLドラマ『ザ・サイン』主演のイケメン俳優らのファンミーティングを横浜市内で開き、日本のBLファンのハートをわしづかみにした。『ギャップ・ザ・シリーズ』イベントの成功で現地のパートナー企業との連携が強化されたことで実現したといい、「台湾やベトナムでもBLドラマが作られている。世界中のGL・BLファンのコミュニティを繋げたい」と今泉さんは意気込む。

「The Sign」ファンミーティング

吉田毅
ファンマーケティング部 吉田毅 部長

同部の責任者である吉田毅部長は「ファンミーティング開催当時、『ギャップ・ザ・シリーズ』は日本ではYouTubeでのみ見られる状況だったにも関わらず、イベントを開催するとすごい人が集まる。新鮮な驚きだった」と話す。

吉田部長は「エンタメ分野は細分化され、それぞれに熱狂的なファンが存在している。だからこそ、あるジャンルが本当に好きで理解している人がビジネスプロデュースには不可欠だ。社員からはさまざまなアイデアや情報が上がってくるが、自分のところに上がってきた話をどう膨らますか。常にアンテナを張って、知らないものを排除しない姿勢が大事だ」と語る。エンターテインメントの根幹ともいえる〝好き〟との思いが新しい作品との出合いや事業につながる。世界中の楽しい作品を探求し、ファンに届けることも使命の一つだ。



(本記事は2025年1月31日時点の内容です)

株式会社 ポニーキャニオン

会社情報 : https://www.ponycanyon.biz

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