Vol.6 株式会社サンケイビル / 株式会社グランビスタ ホテル&リゾート
FMH “拡がる” Inside Story
サンケイホールブリーゼ 大光朋之
「建物」から広がるにぎわい・体験
生き物のリアル伝え55年 地域の環境・教育に貢献
鴨川シーワールド 勝俣浩 館長に聞く
鴨川シーワールド 勝俣浩 館長
1970年の開業時に地元児童が招待された際、当時小学2年生としてシャチのショーを見たという勝俣さん。現在の施設の特色について、レクリエーションの提供はもちろん、「さまざまな種の繁殖に成功し、高い評価を受けていること」を挙げる。国内初となる繁殖としてはシャチ(98年)、セイウチ(2003年)、人工授精によるバンドウイルカ(同)などがあり、野生生物保護のため取引の規制が強まる中、ノウハウを公開・共有することで、国内外の水族館の持続的な運営に役立っているという。

国内で初めてシャチを飼育し55年。現在も人気者だ
長年携わってきた飼育という仕事については「えさをあげるだけでなく、生き物がストレスなく過ごせるよう一緒に遊ぶとか、えさを工夫するとか、さまざまな取り組みを行っている」といい、「飼育環境を構築するにあたり積み上げたノウハウなどを来館者に伝えられるよう、今後も努力していきたい」と述べる。
夏休みの1週間程度、小学生を対象に学習プログラム「サマースクール」を提供している。環境教育の場として開業間もないころから行われてきた。担当飼育員の解説のもと、観察やえさやりなどを通じて、海の生き物を学ぶ。「知識だけでなく、間近で見て触れて、においなども含めて何か感じてもらうことが大事だ」と考えている。
シャチ、ベルーガ(シロイルカ)、イルカ、アシカの4種のパフォーマンスで知られる一方、川の源流から海に至るまでの環境を再現した展示施設「エコアクアローム」では、地元の房総の川や海の生き物を見ることができる。勝俣さんによると、「地元の漁業者と良好な関係を築き、その協力で(生き物を)入手することができた」という。
地元の定置網にはマンボウが紛れ込むことが多い。1980年代には難しいとされたマンボウの飼育に挑み、2993日という今も残る世界記録も打ち立てた。
千葉県の許可を得て実施しているウミガメの保護活動にも取り組む。鴨川周辺はアカウミガメの産卵の北限で、施設の前の砂浜にも産卵のためにウミガメが上陸する。台風などで流される可能性がある場所に産卵したときには「目の前にある水族館として保護のため、卵を施設内の人工の砂浜に移し孵化させて放流している」と語る。活動で得られた知識・経験を生かし、県内の幼稚園や小学校などに出前授業を行う「ウミガメ移動教室」も実施、貴重な環境教育の場ともなっている。
外房のメジャーなリゾート地として発展してきた鴨川市。観光客の誘致はもちろん、全国的な知名度の形成に鴨川シーワールドが果たした役割は大きい。勝俣さん自身も、「出身地を聞かれた際、『千葉の鴨川です』と答えると、ほとんどの人が『シーワールドの…』と言ってくれる」と話す。
より施設に親しみを持ってもらおうと、2月11日の市制施行記念日には市民を入場無料にするなど、地域とのつながりを大切にしている。勝俣さんは「さまざまな組織との関係を大切にしながら新たな取り組みを行い、生き物の呼吸を感じられる場を提供し続けていきたい」と意気込んだ。
古典芸能から「2.5次元」まで 西梅田の地から上方文化育む
サンケイホールブリーゼ 大光朋之氏に聞く
サンケイホールブリーゼ 大光朋之氏
前身のサンケイホールは、大阪市内で初となるコンサートホールとして1952年に誕生した。大光さんによると、建設に際し、大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽総監督も務めた指揮者、朝比奈隆さん(文化勲章受章者)から「オーケストラの演奏ができる規模に」と直訴を受け、当初予定の800席規模から、約1400席に変更された。周辺にはない大規模ホールとなったことで、「当時、海外からのアーティストも『大阪での公演はサンケイホールで』となった」(大光さん)と文化発信拠点としての地位確立につながったという。
大光さんが「ホールの歴史の中でも特筆すべきこと」と語るのが、「上方落語中興の祖」である3代目桂米朝さん(人間国宝、演芸界初の文化勲章受章者)の独演会だ。「旧ホールの20周年に際し、『1400席の私どものホールで落語会をやりませんか』と声を掛けた」というが、当時の落語は100人から多くても300人程度の客の前で行われており「(客席の多さに)戸惑って、いったんは固辞されたものの、熱心に口説いて実現したと聞いている」。

独演会での桂米朝さん(1976年)
そして71年7月、「第1回桂米朝独演会」を開催。チケットは即完売で、その後も毎年1月と8月に定期的に開かれるようになり、米朝一門の落語会として、現在もホールの看板公演となっている。それまでになかった落語公演の大型化を実現し、落語の歴史に新たな一ページを加えた。
現在は落語のほか、野村万作さん(人間国宝)、野村萬斎さんらによる狂言といった古典芸能から、2次元の漫画やアニメを原作に3次元の舞台で公演を行う「2.5次元」の舞台までさまざまな公演が行われている。
ホールがある西梅田エリアはオフィス街として知られる一方、大阪四季劇場やビルボードライブ大阪など、エンタメ関連の施設も多い。大光さんは「周辺施設とともに、西梅田、ひいては大阪の活性化に貢献できれば」といい、「(若い人には)動画や映像に親しむ人も多いが、現地に足を運んでもらい、役者やアーティストによる生の息遣いを感じ取ってもらえれば」と話す。
大阪の文化発信の一翼を担ってきたサンケイホールブリーゼは、今後もその役割を果たし続けるだろう。
「木でつながる」カルチャー発信の場へ
東京・秋葉原(千代田区東神田)に今年7月誕生するサンケイビル初の木造オフィスビル「KiGi AKIHABARA(キギ アキハバラ)」。企業に「場」を提供することで、ビルを起点としたカルチャー発信の「場」へと成長する将来像を描く。

サンケイビル初の木造オフィスビル
名称は「木々」に由来し、2つの「i」を人に見立て「人々が集う場所になってほしい」との願いを込めた。ブランドスローガンは「木でつながる。人がかがやく。」神田川に面した開放感にあふれた環境に立ち、人と人、都市と森を結びつけ、すべての人が生き生きと活動できるビルを目指している。
地上9階建て。木造と鉄骨造のハイブリット構造で、主要な部分は鉄骨で支えつつ、構造体として木材も使用。神田川の浸水が想定されない2階以上には木製の床板を採用する。
オフィスワーカーに自然を感じてもらおうと、内装も木材を利用。木材利用に関して先導性を有する計画であることが評価され、中大規模木造建築物の普及プロジェクトを支援する国土交通省の「令和6年度優良木造建築物等整備推進事業」に先導枠として採択された。
ワンフロアの貸室規模は約30坪(約102m2)とコンパクトで、地方企業や成長が期待される中小企業の入居を念頭に置く。技術本部技術二部長の佐藤恒一さんは「完成後も利用する方々とつながり、ともに成長し続け、情報を発信するビルになるよう、いろいろな仕掛けを施した。ぜひご期待を」と話している。
改革アクションプラン
フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は「改革アクションプラン」で、グループ企業の目指す方向性を「エンゲージメントが高くオリジナリティに満ちたコンテンツや体験の場を創出することで、人々が喜びやつながりを実感できる社会づくりに貢献します」と定義。「創り出す」「形づくる」「届ける」「つなげる」の4つの実行プロセスをキーワードに、グローバルIP(知的財産)の創出や、新規事業開発などに取り組んでいます。
(本記事は2026年3月6日時点の内容です)
株式会社 サンケイビル
会社情報 : https://www.sankeibldg.co.jp
株式会社 グランビスタホテル&リゾート
会社情報 : https://www.granvista.co.jp
